植物や花は、その存在そのものが、自然が作り出した美の一形態です。
さらに、いけばなでは、ひとの手を加えて、枝や葉や花の「形」、「色」、「空間」などを見極めて、余分と思われるものを省略しながら「自然の美とはちがう、ひとのおもいによる美」(※1)を作り出しています。
今回のいけばなの稽古での課題は、「単純化の極」。
テキスト(※2)では、以下のように述べられていました。
【単純化の極】
・・・それ以上省略すると、その植物素材ではなくなってしまう、いけばなではなくなってしまう、というぎりぎりまで作品のあり方を考えていくのです。ということは、極限まで単純化されたその作品は、逆にすべてを含んでいなければならないということ、つまり最少の要素で最大のものが表現されていなければなりません。・・・(※2:p76)
「どの枝を省略すればいいのか?」
枝と向き合いながら、吟味していると、いつのまにか、自分自身と向き合うことになります。
余分なものをそぎ落としていくと見えてくる本質。
「単純化」というのは、ただ簡単にすることではなく、強固な基礎があってこそ、表現できること。
これまで習ってきた基礎の重要性を痛切に感じました。
1本の枝と1輪の花をいけるのに、1時間以上かかってしまいましたが、
「基礎を積み重ね続けることの意義」を学んだ実りある稽古となりました。
・・・
【参考文献】
(※1)勅使河原 茜『草月のいけばな1[花型]』(2008,草月文化事業株式会社)
(※2)勅使河原 茜『草月のいけばな4[素材と空間]』(2008,草月文化事業株式会社)